三菱UFJPhoto:DOL

 米金融大手モルガン・スタンレー三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から出資を受け入れた2008年。当時、モルガン・スタンレーは慌てて安売りし、資本提携した大人しい日本の銀行が足枷になるとの懐疑論がくすぶっていた。

 「間違いを犯したと思われていた」。モルガン・スタンレーのナンバー2、コルム・ケレハー氏は先頃、当時を振り返り、こう述べている。

 だが今、モルガン・スタンレーとMUFGは、提携により、互いに単独では実現できなかったことをやり遂げている。日本で有力な投資銀行を誕生させ、財務力を強化したモルガン・スタンレーは米国内で競争力を高めた。

 提携の成果が如実に表れたのが、3日発表された米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブによるバイオ医薬品大手セルジーンの買収だ。740億ドル(約8兆円)の規模の買収でモルガン・スタンレーとMUFGは共同で335億ドルを融資する。つなぎ融資としては過去最大級の規模だ。

 モルガン・スタンレー単独では、これほどの融資を手掛ける体力はない。JPモルガン・チェースのような巨人でも、単体の借り手に対する融資額としては約250億ドルが上限だ。ゴールドマン・サックスとバークレイズが2017年、ドラッグストアチェーン大手CVSヘルスによる医療保険大手エトナ買収にそれぞれ200億ドルずつ融資した際も、驚きを持って受け止められた。

 モルガン・スタンレーは、MUFGと組むことで、融資手数料(そして自慢する権利も)を米国の競合の手に渡ることを阻止できる。フリーマン・コンサルティング・サービシズによると、モルガン・スタンレーとMUFGは、推定で最大1億7000万ドルを山分けする見通しだ。モルガン・スタンレーはこれとは別に、ブリストル・マイヤーズから数百万ドルのアドバイザー料も受け取る。

 提携は2008年9月、MUFGがモルガン・スタンレーの株式21%を取得したことから始まる。リーマン・ブラザーズに続いて経営破たんに追い込まれるのではとの懸念から、当時モルガン・スタンレー株は売り込まれていた。MUFGからの90億ドルの出資は、生き残りには是が非でも必要な命綱だった。出資発表を好感し、モルガン・スタンレーの株価は上昇した。