公的年金に偏り過ぎた
民主党の年金議論

 国会では社会保障・税一体改革で、年金の議論が始まっているが、これまでの民主党の年金議論を一口で言うと、公的年金制度、それも基礎年金部分に焦点を当てすぎた非常にアンバランスなもの、という感じがする。

 そもそも年金制度をはじめ社会保障の基本的な考え方は、自助・共助・公助をバランスよく組み合わせて、公平でかつ効率的な制度を作り上げることである。

 小泉政権時代に自助努力の必要性を主張しすぎた反動もあって、民主党政権に代わってからは、公助が強調され、基礎年金部分にいかに税財源をつぎ込むかということが主題となった。今日これが、モラルハザードを生じさせる「ばらまき政策」と非難を浴びつつある。

 図表1は、わが国の年金制度の概要であるが、基礎年金部分(1階部分)、厚生年金部分(2階部分)、企業年金部分(3階部分)、私的年金部分(4階部分)に分けられる。このうち、自助努力という観点からは、3階部分の個人型401k(個人型確定拠出年金)や、4階部分の個人年金が該当する。この全体を議論してこそ本当の年金改革といえる。