スタンドに並ぶ米新聞Photo:iStock/gettyimages

 「USAトゥデー」などを発行する米新聞大手ガネットに対し、ヘッジファンドが後ろ盾についている米メディア大手MNGエンタープライジズが敵対的買収を仕掛けた。発行部数の減少に苦しむ新聞業界では、 資金力豊かな金融会社が親会社としての存在感を増しており、業界が一段のコスト削減を強いられるとの懸念が高まっている。

 MNGは業界内で「デジタル・ファースト・メディア」として知られる。同社は14日、ガネット株の7.5%を取得したことを明らかにした上で 、14億ドル(約1510億円)で買収することを提案した。1株当たりの提示額は12ドルで、11日終値に23%のプレミアムを上乗せした水準となる。

 デジタル・ファーストは、ガネット経営陣のかじ取りのまずさを指摘している。ガネットは買収案を受けたことを確認し、提案を慎重に精査する考えを示した。同社は約100前後の刊行物を抱える。市場は買収提案を好感し、14日の取引でガネット株価は20%を超える値上がりとなった。

 系列メディアで勤務したことのある記者やコンサルタントなど、業界内でデジタル・ファーストに批判的な向きは、同社はこれまで、新聞媒体の長期的な健全性を改善するための十分な投資は行わず、コスト削減を優先してきたと述べる。ガネット自体もすでに大規模な人員削減を実施しているが、今後さらに厳しいリストラの嵐が吹き荒れるとの危機感が募っている。

 デジタル・ファーストの広報担当者は、目先の利益拡大だけを目指しているのではないとして、同社の戦略を擁護する姿勢を示した。

 消費者がオンラインメディアに移行する中、新聞業界は過去数年に大きく落ち込んでいる。こうした状況が業界再編への機運を高め、金融機関やプライベート・エクイティ(PE)、ヘッジファンドなどが積極的な買収に乗り出している。その結果、今では新聞グループ大手上位10社のうち、これら金融企業が4社を所有・運営する。