消費者物価統計では、こうした量や質の変化があった場合にはそれらを調整することになっているのだが、実際には難しい。
しかし、感覚の鋭い消費者はごまかせない。まず、少し細かな人は、単価の推移を考えるだろう。
外観は同じでも、1000cc入っていたはずの牛乳やジュースが900ccになっていたり、一箱に10皿分入っていたはずのカレーのルーがいつの間にか8皿分になっていたり、というのはよくあることだ。
石鹸や洗剤など頻繁に購入される日用品では、こうした数量の減少は珍しくなく、体感物価を高める要因となる。
もっとも、このぐらいは消費者物価の調査では把握できているはずだ。しかし、例えば、回転ずしの一つひとつが小さくなっていても、それを量の減少として把握するのは難しいだろう。
表示価格が下がっていても単価が上がっているのであればインフレだが、物価統計に100%反映できていない。
さらに、こだわりのある人は、モノやサービスの価格が質に見合ったものかどうかを考えるだろう。同じ価格で売られていても、質が落ちたと思えば、値段が上がったと感じることになる。
こちらは、物価統計で捉えるのがかなり難しい「ステルス・インフレ」だ。
しかし、良いものを選ぶ鋭い感覚を持った消費者をごまかすことはできない。「安かろう、悪かろう」という戒めは昔から言われていることだ。
ウール100%のセーターであっても材料の違いで肌触りは違ってくる。大豆の質を落とせば豆腐もおいしくなくなる。さまざまな原材料価格が上がってきた時に、販売価格を上げられない中で質の劣化が起きているのではないか。
サービスの分野でも、宅配などで配達頻度が落ちるのであれば、サービスの質の低下である。人手不足のレストランでは以前に比べて給仕のサービスが悪くなっている。価格が同じであれば実質的な値上げが起きたということだ。
最近、よく耳にする検査偽装やデータ改ざんも、品質の劣る製品を高く買わされていたということになる。



