工場で働く人々Photo:iStock/gettyimages

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

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 米フロリダ州中心部は60万人以上が暮らす大都市圏であり、全米でも有数の先進的技術を用いた物流センターが幾つか立地している。

 レイクランド市やその周辺には、アマゾンやDHL、ウォルマート、家具販売店ルームズ・ツー・ゴー、スーパーマーケット大手パブリックスの拠点のほか、自動車保険大手ガイコの巨大なコールセンター、世界最大のワイン・蒸留酒の物流倉庫、天然・人口香料やグリッター(装飾用の光る粉)の工場などが集まっている。

 しかしブルッキングス研究所の最近のリポートは、米国勢調査やマッキンゼーのデータに基づいて、レイクランドの経済的繁栄が急速に終わりを迎える可能性を指摘している。ブルッキングスは、まさにそうした工場や倉庫、オフィスの生産性を高めるオートメーション(自動化)や人工知能(AI)によって最も雇用が失われるリスクにさらされている大都市圏をリスト化しており、その第3位にレイクランドをランキングしている。

 言い換えれば、レイクランドは全米や全世界で起こりつつある現象の縮図かもしれないということだ。テクノロジーによって中間層は2方向のいずれか一方に追いやられるとエコノミストらは指摘する。適切な技能や教育を受けた人は新しい技術的エリートに、それ以外の人は「プレカリアート」という階級に分類されることになる。プレカリアートとは、テクノロジーによる仕事の性質の変貌に伴って役割が頻繁に変化する、給付や保護が手薄で雇用が不安定な低賃金労働者を指す。

 「経済は根本的に変化したが、米国の社会モデルはそうなっていない」。ブルッキングスのリポートの作成者マーク・ムロ氏はそう指摘する。「オートメーション化と同時に、こうした一部職種の不安定さを補う可能性のある政府の給付制度が崩壊する」