数字の羅列が刻まれたチェーンPhoto:iStock/gettyimages

――筆者のロビン・メットカルフ氏は、食の歴史家、食の未来学者、テキサス大学オースティン校の講師・研究員。サプライチェーンの技術革新推進団体「Food+City」のディレクターでもある

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 米オレゴン州ポートランドを舞台にした人気コメディー「ポートランディア」の第1話「ファーム(農場)」では、ピーターとナンスという名のカップルがレストランを訪れ、鶏肉料理を注文しようとする。給仕係のダナはメニューの食材になる鶏の血統や食生活について、「伝統的な品種」であり、「森の中で飼育され」、「羊のミルクと大豆、ヘーゼルナッツを食べていた」と説明した。ピーターとナンスはその鶏が正真正銘の有機飼育なのかどうかダナを質問攻めにする。正式書類をチェックしても満足できない2人はその鶏が育てられた農場に向けて出発する。放し飼いにされ、幸福に生きたのかを確かめるためだ。

 ピーターやナンスのようなレストラン客にとって間もなく、注文した鶏肉の生前のストーリーや飼育環境、スーパーマーケットまでの経路が簡単に分かるようになるかもしれない。使うのは、中国のネット保険大手、衆安保険傘下の衆安科技が開発した鶏肉モニター技術「ゴーゴーチキン」だ。鶏の足に追跡装置をつけ、サプライチェーンの最初から最後まで、自動的にリアルタイムの動きをデジタル台帳(つまりブロックチェーン)にアップロードする。さらにセンサーが温度や湿度など鶏の置かれた環境を監視し、アルゴリズムが動画分析を使って鶏の健康状態を評価する――。衆安科技はこう説明する。