「いつか必ず、この闘病経験を活かせる時が来る!」と信じて

──「どんな経験も、価値に変えることができる」「迷ったときは、より自分にしかできないと思える道を選ぶ」「暗闇でしか見つけられないものもある」など、病気に苦しんでいる人だけでなく、あらゆる人にとって示唆に富んだ言葉が多く記されています。告知から手術、抗がん剤治療中の話も、「闘病記」というよりは記者の目線で冷静に記録し、それによる気付き、学びが記されている部分が多いという印象です。

 実際、この本は「記録」がベースになっているのです。がんを告知された後、近しい人にはその事実を報告したのですが、その際に2人から「記録を取るといい」とアドバイスを受けたのがきっかけです。

 1人は、日本テレビの先輩である今村忠さん。「闘病中は、自分では覚えていなかったり思い出せなくなったりすることもたくさんあるから、闘病の様子を映像に残しておくか?」と言ってくれました。「俺は美穂が死ぬなんて思っていない。いつか闘病した過去があったなんて想像もできないぐらいにぴんぴんして、笑って講演とかしてそうだから、その時映像があったほうがいいじゃない?」と。この言葉に、どれだけ勇気をもらったかわかりません。

 そこから診察や手術当日、闘病の模様を忠さんに録ってもらうようになり、2015年には私自身の闘病風景を盛り込んだドキュメンタリー番組「Cancer gift がんって、不幸ですか~」を制作、放送、大きな反響をいただくことができました。

 そしてもう1人が、この本の編集を担当してくださった、ダイヤモンド社の土江英明さんです。土江さんには学生時代からお世話になっていたので、すぐに報告したところ、「きっと未来の美穂さんのためになるから、闘病中の記録をメモに取っておいた方がいい」とアドバイスをいただきました。そこから、辛い闘病中にも「記者の目」でメモを取り、記録したことが、10年の時を経て、本という形になりました。

 2人のアドバイスがあったから、「もし元気になることができたら、今の自分のような思いをしている人たちのために何かできることをしたい」という思いで辛い抗がん剤治療に臨むことができたし、心が折れそうになったときも「いつか必ず、この闘病経験を活かせる時が来る!」と信じて頑張り抜くことができました。