がん検診
がん検診にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

生涯で2人に1人が罹患(りかん)する身近な病気であり、日本人の死因で最も多い「がん」。その早期発見・治療を目的とするのが「がん検診」です。しかし、書籍や雑誌、ネットでは、「血液検査でがんを発見できる」「がん検診は受ける意味がない」など、さまざまな情報が飛び交っています。実際、がん検診にはメリットとデメリットがあり、何をいつ受けるべきかの「正解」は、年齢、性別、家族歴などにより、一人ひとり異なります。「今、何の検診を受けるべきか」について考えるためのヒントを、国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部部長の中山富雄先生に聞きました。

万能ではないがん検診
「見逃し」や検診による「合併症」も

 がん検診は、自覚症状がない健康な人を対象に、がんを早期発見し、適切な治療により、がんによる死亡率を低下させることを目的としています。早期がんではほとんど自覚症状がありません。そのため、症状が出て受診した人の多くは、進行したがんで発見されます。症状が出る前ならば治癒する確率も高く、体への負担が少ない治療を受けられ、治療後のQOL(生活の質)も保てます。また、子宮頸がんであれば子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)、大腸がんであればポリープなど、がんの前段階(前がん病変)での治療により、がん化を防ぐことが可能です。

 ただし、がん検診は万能ではありません。がんがある人を「異常あり」と正しく判断する割合(12ヵ月以内にがんと診断されるもの)は、60~80%程度です。検診を受けても、見逃されてしまうケースもあります(偽陰性)。要因は、検診機器の限界、医師や検査技師の技量と技術の問題などさまざまです。反対に、「がんの疑いがある」と判定されて精密検査が行われた結果、問題がないケース(偽陽性)もあります。

 検診により起きる合併症(偶発症)もデメリットの1つです。内視鏡検査では胃壁や腸壁に穴があく「穿孔(せんこう)」が起こります。エックス線(レントゲンなど)検査や、CT(コンピューター断層撮影法)検査などによる放射線被曝で、がんを誘発することもあります。肺がん検診で行う胸部エックス線検査や、乳がん検診で行う乳房エックス線撮影 (マンモグラフィ)における放射線量は比較的少なく大きな問題とはなりませんが、胃がん検診で行う胃透視検査(胃バリウム検査)の被曝量は極めて多いといえるでしょう。