筆者は最近フィジーを訪れ、素晴らしい南太平洋の島々が依然として世界中で最も楽園に近い姿を維持していることを確認できた。しかし、光り輝く透明な海と美しいサンゴ礁の近くで、何やら黒い影がうごめいているのも目にした。米国と中国の覇権争いが激化するのに伴い、オセアニア地域に散在するこの人口密度が低い島々は今後、地政学上の火種になるだろう。両国の争いはすでに、これら島しょ諸国の脆弱(ぜいじゃく)な社会に緊張をもたらしている。これらの小規模かつアクセス手段が極めて限られる島しょ諸国に対し、米中、そしてオーストラリアが政治的影響力を強めようとするなか、こうした緊張状態はさらに深刻化するだろう。