ドナルド・トランプ米大統領がメキシコからの輸入品に対して追加関税を発動する構えを見せたことは、昨年の北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の妥結により、自由貿易が維持できると期待を寄せていた自動車業界にとって新たな一撃となった。デトロイトのビッグスリー(米自動車大手3社)幹部にとっては、通商政策を巡るトランプ氏の脅しの中でも、メキシコからの輸入品に対する関税引き上げが最大の懸念だ。メキシコで製造する車は、米大手3社の2018年国内販売台数の17%を占めており、これにはもうけ頭であるピックアップも含まれる。メキシコに対する関税は、外国メーカーや自動車部品サプライヤーにとっても打撃となる。全体としては、米国が昨年メキシコから輸入した自動車は526億ドル(約5兆7000億円)相当、関連部品は325億ドル相当にそれぞれ上り、国別では最多だ(米商務省データ)。