それから40年の月日が流れ、主犯とされた2人の指導者は、すでにこの世にいない。森は裁判が始まる前に拘置所で自殺して、死刑判決が確定した永田は、長く脳腫瘍を患いながら、昨年獄死した。

 でもこの間に、当時の山岳ベースで同志殺しに加担した元兵士たちが徐々に出所して、そのうちの何人かは重い口を開き始め、事件の全貌が様々な視点から語られ始めた。さらに森と永田もそれぞれ、逮捕後に書いた自己批判書や複数の著作を残している。つまり事件の全体像を考えるうえでの材料は、決して乏しくない。だからこそ事件から40年が過ぎる今年は、例年にない大掛かりなシンポジウムが開催された。

 ただしシンポジウムのタイトル『浅間山荘から40年 当事者が語る連合赤軍』が示すように、連合赤軍といえば普通はあさま(正式名称は浅間)山荘を連想する。社会に与えた影響の本質があるのは山岳ベース事件だけど、事態があまりに凄惨すぎるため、多くの人々は当時も今も、山岳ベース事件からは目をそむけようとする傾向がある。数年前にNHKの『プロジェクトX』で連合赤軍をとりあげたときも、あさま山荘ばかりで山岳ベース事件への言及はほとんどなかった。まあ番組のコンセプトとしては、仕方がないのかもしれないけれど。

組織共同体を暴走させる負のメカニズム

 なぜ事件は起きたのか。

 なぜあなたたちは同志への総括を続けたのか。

 あなたたちが処刑されなかった理由は何なのか。

 森や永田に対して今は何を思うのか。

 これらの質問に対して4人の元兵士たちは、マイクを手に絶句する。あるいは考えこむ。互いに意見が食い違う。必死に記憶を振り絞る。