米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は今週、経済が健全な状況にあるとみられる中でも、同僚らを先導し2008年以来となる利下げに踏み切る見通しだ。物価、および市場が決定する金利はともに、数十年にわたる力強い雇用や堅調な経済成長を踏まえた経済モデルの一部想定をなお下回っている。こうした状況は、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が歴史的には低水準にありながらも、FRBが考えていたほど経済を下支えしていないことを示唆している。さらに、通商政策を巡る不透明感から世界経済の見通しが悪化する中で、当局者からは、一段の緩衝材を提供するために、利下げが必要との指摘が出ている。FRB幹部の間では、米経済と世界経済のつながりがこれまで以上に深まっており、米国の金利についても、低金利・マイナス金利政策を実行している他の先進国の水準を大きく上回ることはできないとの見方が出ている。