国民は怒っているのに、野党には票が流れない。その理由は、毎週土曜日にソウル中心部の光化門一帯で行われている保守派の「太極旗集会」に行けばわかる。

 この集会は2017年3月の朴槿恵前大統領の弾劾や5月の文政権発足などを契機に始まり、ずっと続いている。

 日米などの一部メディアは、日韓関係悪化後、「文政権支持者の『反安倍集会』より太極旗集会に集まっている人の方がずっと多い」、「文政権が国民から見放されている証拠だ」などと報じているが、その解釈は正確ではない。

 集会に参加している人は50代以上の高齢者がほとんどだ。しかも、「文在寅退陣」と共に必ず掲げられるスローガンがある。「朴槿恵無罪」「朴槿恵即時釈放」だ。

 集会の参加者は、朴槿恵前大統領の地元で保守派の金城湯池と呼ばれる大邱・慶尚北道と縁があったり、朝鮮戦争などで大きな被害を受けて強い反共に転じたりした人々で、幅広い層が集会に来ているわけではない。

 大多数の国民はまだ朴・前大統領を許していない。筆者が8月にソウルを訪れた際も、「朴槿恵は許せない」という声を多く聞いた。

 不正入学のほかにも、自らの財団への出資を企業に強要したり、サムスンなど財閥企業グループの再編や経営に介入し賄賂を得たりした側近の崔順実被告の一連の事件への関与と、それを許した朴前大統領に対して、依然としてまだ多くの国民が厳しい目を向けているのだ。

 韓国はおおざっぱに分けて、選挙の際の支持層は「保守4割、進歩(革新)3割、無党派3割」と言われる。現在は「進歩4割、保守3割、無党派3割」の状態が続いていることからも、朴・前大統領に対する国民の批判がまだ収まっていないことがわかる。

すべて内政中心の思考
「反日」外交はその結果

 こうした国内の支持率が高い政治環境ゆえに、「内政中心」の文政権は外交政策についても修正する機会を失っている。

 文政権の思考はいつも内政中心だ。外交は内政の延長線でしかない。

 文政権の支持層は、1980年代前後に、民主化運動などで保守の軍事独裁政権と戦った。「386世代」とも呼ばれ、この世代の支持を得て大統領になったのが廬武鉉・元大統領で、文氏はその側近だった。