MQ会計の3つの特徴

 「それでは、MQ会計の特徴をまとめていきましょう。MQ会計は3つの特徴があります。1つ目は『科学的な会計』です。MQ会計はDCをベースにしているので、作れば作るほど売れなくても『みせかけの利益』が出るというFCの非科学的な問題をクリアしています」

 川上の話に参加者は頷いた。

 「2つ目は『戦略的な会計』です。MQ会計は経営者が意思決定をするときの判断に役立ちます。例えば、いくらなら受注してもいいのか? 仕事を内製するのか外注に任せるのがいいのか? など、経営者は日々、意思決定をする必要があります。その時の判断に役立つのがMQ会計です!」

 早苗がメモする手を止めて顔を上げると、川上と目が合った。

 「3つ目は『誰でも分かる会計』ということです。MQ会計は6つのローマ字だけで構成されたシンプルな仕組みで、ビジュアル的にも分かりやすいですよね。社内で会計を共通言語とするためには、これくらいシンプルじゃないと難しいです」

 (これなら千葉精密にも広げられるかも……)

 早苗の胸中にかすかな期待感が芽生えた。

相馬裕晃(そうま・ひろあき)
監査法人アヴァンティア パートナー、公認会計士

1979年千葉県船橋市生まれ。
2004年に公認会計士試験合格後、㈱東京リーガルマインド(LEC)、太陽ASG 監査法人(現太陽有限責任監査法人)を経て、2008年に監査法人アヴァンティア設立時に入所。2016年にパートナーに就任し、現在に至る。
会計監査に加えて、経営体験型のセミナー(マネジメントゲーム、TOC)やファシリテーション型コンサルティングなど、会計+αのユニークなサービスを企画・立案し、顧客企業の経営改善やイノベーション支援に携わっている。年商500億円の製造業の営業キャッシュ・フローを1年間で50億円改善させるなど、社員のやる気を引き出して、成果(儲け)を出すことを得意としている。
著書に『事業性評価実践講座ーー銀行員のためのMQ会計×TOC』(中央経済社)がある。MQ会計を日本中に広めてビジネスの共通言語にする「会計維新」を使命として、公認会計士の仲間と「会援隊」を立ち上げ活動中。