普段は封印されていても、きっと、どんな人の心にも、傷のひとつやふたつある。「何かストレスはありますか?」と聞かれたら、ふと頭に浮かぶものもあるだろう。

 そんなとき、あなたは次のどちらを選ぶだろうか?メンタル面により一層のダメージを与えてしまう、追い討ちをかける食事。そして、必要以上にダメージをうけない、心の防波堤になる食事。この二つの食べ方、つまり、ビジネスマンのキャリアにとって大きな分かれ道が確かにあることを知ったら「食事なんてお腹がいっぱいになったらなんでもいいよ」なんて、もう言えないかもしれない。

 実際、心にトラブルを抱えたときには、何かしらの体調不良が伴うことが多い。頭痛が止まない、疲れがとれない、異常に肩が凝る…そのような状況が続き、何か病気かと思って病院で検査してもらうが、「何も異常がないから、精神的なものかもしれませんね」と医師にいわれてはじめて心療内科を受診する人は少なくない。ただ、心的なことが体調不良を引き起こすだけではなく、逆に、体調不良の状態が心のテンションをグッと下げていることもある。誰もが経験していると思うが、二日酔いの朝、いつもよりポジティブになれないのと同じだ。

 このように、「自律神経失調症かもしれませんね」「疲れがでたんでしょう」と言われてしまううつ予備軍、原因が特定できない身体的不調を強く感じる場合、食べ方を意識することで症状が改善されることが多い。

 “原因がわからない不調”や“病気と診断されない不調”は不安を生むし、本人が無意識のうちにかかってしまった病気を治すのはなかなか難しい。しかも、心療内科を受診するのは、未だに抵抗がある人も多い。そうすると余計に、八方ふさがりに感じてしまうこともあるはずだ。でも、物事を立体的に見ると、そこに突破口が見えることがある。何かひとつでも問題解決のためにできることがあると、それだけでも大きな心の支えになる。

「昼食抜き」が当たり前になっていないか
肉や魚、生野菜不足が心のトラブルに

 ビジネスマンが、心に疲労感を抱くのはどんなときだろう。仕事にゆとりがあって、職場環境もよくって、プライベートも充実している…そんなときでは決してないはずだ。仕事が忙しくて、上司や取引先からのプレッシャーがあって、安心して帰れる場所がない…そんなときに、人の心は弱るのではないか。しかも、そういうふうに忙しくなったときの食事を思い出してほしい。いつも以上に食生活が乱れていないだろうか。

 食べるよりもまず仕事。昼休みもとらず、はっと気がつけばもう夕方。お腹が空くはずなのに、空腹感すら忘れてしまう。コンビニに行くゆとりもなく、社内の自動販売機でお菓子を購入したり、残業中、砂糖たっぷりの缶コーヒーで疲れた自分を癒しながら活をいれてみたり…。帰る頃にはコンビニのお弁当売り場もガラガラで、ビールと、つまみになりそうなものを買って帰って寝る…そんな時もあるかもしれない。