米国の21世紀の中国との争いは、かつてのソビエト連邦との冷戦よりも危険かつ複雑になるだろう。原因は、中国が経済力によってソ連よりも手ごわくリソースに富んだ敵国となっていることや、技術環境が過去数十年で劇的に変化したことにある。冷戦を形作ったのは核兵器や大陸間弾道ミサイルだった。その結果である核の「恐怖の均衡」によって冷戦は冷たく保たれ、どちら側も全滅のリスクを冒そうとしなかった。東西両陣営が核のバランスを安定させようと模索するなか、軍縮交渉が大国関係の中心的存在になった。情報革命が新たな危険を顕在化させた。サイバー兵器は、電力・輸送網を破壊し、金融システムをまひさせ、病院から政府機関まで全てを機能停止させるなど、標的を壊滅させることができる。そうしたサイバー兵器の進展は格段にコントロールしづらく、使用を阻止することもかなり困難だ。
【オピニオン】米中対立がもたらす冷戦への懐古
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