ほどよい“居場所”のつくりかた──60歳からの人づきあいの知恵
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 退職して年金暮らしになると、日々節約に頭を悩まされる。あまりケチケチしすぎると、みじめな気持ちになり、生活を楽しめなくなってしまう。『ほどよい“居場所”のつくりかた──60歳からの人づきあいの知恵』の著者である菅原圭さんが、フードロスを出さない、メリハリを楽しむ、小さな贅沢をみつけるといった、ちょっとわくわくする豊かな節約術を紹介する。

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ひとり暮らしでもフードロスを出さない

 定年まで厚生労働省に勤め、各地を回って学校給食や老人施設などの栄養指導をしていたというキャリアウーマンと知り合った。数年前にご主人を亡くされ、お子さんはない。都内の戸建て住宅でひとり暮らし。

「お茶でも飲んでいく?」と声をかけられ、ときどきお宅に立ち寄るのだが、先日はついついおしゃべりに花が咲き、食事時にかかってしまった。すると、「ありあわせだけどお弁当をつくってみたの。食べていって」と声をかけてくださる。せっかくのお誘いなので遠慮なくいただくことにした。

 言葉どおりのありあわせだったようだが、和風の弁当箱にいく品かを詰めあわせ、ご飯には山椒としらす干しが混ぜてある。手早くかんたんなすまし汁もつくってくれ、ちょっとしたミニ懐石をいただいた気分になった。帰りには、これも小さな袋入りのお菓子のおみやげまでくださると、いたれり尽くせりのおもてなしだ。

 私が気にしないようにという気づかいからだろうが、お弁当とおみやげの裏事情を話してくれた。

 ひとりになったら、相当気をつけていても残りものが出てしまい「もったいない」と悩んでいた。ある日、ふと思いつき、食べきれなかった分は小さな容器に入れて冷凍しておく。それが少したまると、手早く解凍。ほかにありあわせを添えてお弁当箱に詰め合わせ、今日のようにちょっと立ち寄った人にふるまったり、二人分つくり、訪問先に持っていき、一緒にランチをしたりしているそうだ。

 野菜の切れはしはヌカ床に入れて漬物にし、これも残さず食べているという。とことんムダを出さない暮らしを、ケチくさくなく実現しているのだ。

 おみやげの中味はいただきもの。高齢でひとり暮らしとあって、お菓子の詰め合わせなどをいただいても、もてあますばかり。そこで、百均できれいな袋とリボンを購入し、お菓子を2、3個入れて、リボンで結んでおく。こうすると気軽にもらってもらえるので、賞味期限が切れてしまうこともなくなったという。