国民皆保険制度をとっている日本では、誰もがなんらかの公的な医療保険に加入することが義務づけられており、会社員は勤務先を通じて、被用者(会社に雇われて働く人)のための健康保険に加入している。
会社員の健康保険は、おもに中小企業の従業員を対象とした全国組織である「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、1つの企業、または同業種の企業が集まって独自に運営する「組合管掌健康保険(組合健保)」のいずれかで、入社すると勤務先が従業員に代わって、加入のための手続きをしてくれる。
健康保険に加入しているおかげで、保険証を見せれば全国どこの医療機関を受診しても、かかった医療費の一部を負担するだけで必要な医療を受けられる。だが、会社員時代には当たり前に備わっていた保障も、退職すると健康保険も資格喪失手続きが取られるため、退職日の翌日から保険証は使えなくなる。
すみやかに、その他の健康保険への加入手続きをとる必要があるが、定年退職した場合、その後の健康保険の加入先は4つの選択肢があり、保険料や受けられる保障内容にも違いがある。
75歳になると、すべての人が後期高齢者医療制度に移行する。それまでは4つの健康保険を比較して、できるだけ有利になるものを利用したい。ただし、加入できる条件が決まっているため、誰でも自由に加入できるわけではない。まずは、定年退職後の健康保険の加入先には、どのようなものがあるのか確認してみよう。
定年退職後の健康保険の加入先
4つの選択肢から有利なものを選ぶ
定年退職した人の健康保険の加入先は、次の4つ。
(1)会社員の家族の健康保険の被扶養者になる
(2)退職した会社の健康保険の任意継続被保険者になる
(3)特例健康保険組合の特例退職被保険者になる
(4)国民健康保険に加入する
それぞれの加入要件、メリット・デメリットを比較してみよう。