ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、「直接上場(ダイレクトリスティング)」方式で上場する企業にも資金調達を可能にする提案を米証券取引委員会(SEC)に提出した。NYSEはこれまでも直接上場を認めてきたが、その場合に資金調達は許可されていなかった。この提案では、直接上場の際に既存株主が保有株を売却するだけでなく、直接上場を行う企業が新株を発行することが可能となり、市場で資金調達するための新たな選択肢が生まれることになる。最近ではスウェーデンの音楽配信サービス大手スポティファイ ・テクノロジーやビジネス用チャット大手の米スラック・テクノロジーズが直接上場を行い、注目を浴びた。従来の新規株式公開(IPO)では多額の手数料がかかり、株式売却を制限するロックアップ期間も設定されるため、ベンチャーキャピタル(VC)の間ではIPOを避けて直接上場を検討する動きも見られるが、今回のNYSEの方針でこうした傾向が和らぐとみられる。