設立以来、「トラックターミナル」機能を通じて物流効率化に貢献してきた日本自動車ターミナル(JMT)。eコマースの台頭などで物流が大きく変化する中、際立った立地優位性を武器に新戦略を加速させている。
“大動脈”を支えるトラックターミナル
昼夜を問わず多くのトラックが出入りし、貨物の積み替えが行われる物流施設「トラックターミナル」。円滑な物の流れを底支えする不可欠な役割を担っている。
日本自動車ターミナル(JMT)は、東京23区内に4カ所の公共トラックターミナル(以下ターミナル)を運営し、首都・東京の物流効率化や交通混雑緩和、都市機能向上に貢献してきた。ターミナルの総面積は約65万平方メートル、東京ドーム14個分にも及ぶ。1965年の設立以来、「特積トラック」と呼ばれる長距離幹線輸送を行う特積事業者向けにターミナル施設を提供し、首都圏と全国の間で行き交う物流、まさに“経済の大動脈”を支え続けてきた。
日本自動車ターミナル
秋山俊行
代表取締役社長
秋山俊行
代表取締役社長
JMTの秋山俊行社長は「全国の特積事業者が利用しやすい賃料でターミナル施設を提供することで、経済活動に欠かせない物流を支えてきました。それが当社のレーゾンデートル(存在理由)です」と社会的意義の高さを強調する。
だが、近年は人口減少や脱工業化による輸送量の減少もあり、都内一等地の広大な敷地を特積事業者向けの平屋建て施設で維持し、提供し続けることが難しくなりつつある。そこで同社は創立50周年を迎えた15年、新たな事業の柱として本格的に物流センター事業に乗り出した。
「土地の高度利用に加えて、当社のコア事業である特積事業者に将来にわたってターミナル機能を提供し続けるためにも、経営基盤を強化する必要がありました」(秋山社長)