事前準備のポイントは「選択と集中」
では、どのように事前準備をすればいいのか? まず大切なのが「準備を最小限に絞ること」です。
たとえば受験で、A~D校全部を受けるなら、まんべんなく網羅するという準備が必要ですが、A校だけ受けるとなったら、A校だけの準備でいい。これはビジネスやスポーツにも当てはまると思います。
準備については、僕は過去に大きな失敗をしています。
『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』でも詳しく書いていますが、2018年、「獣道」というイベントで梅原大吾選手との対戦を行い、完敗しました。梅原選手は僕の憧れのプロゲーマーであり、ライバルでもあります。
10試合先取した方が勝ちのルールで、9-3まで追い込まれ、その後2連勝して9-5まで挽回こそしたのですが、僕はもう途中で「これは負けるな」と気づいていました。
なぜなら梅原選手の試合への対策が、僕の想定を上回っている、と分かったから。今回のイベントでは梅原選手と「だけ」対戦することが決まっていたのに、僕は普通の大会に向けた対策、つまり受験でA~D校を併願するときのような対策で臨んでしまったのです。本当はもっと梅原選手に集中した準備をすべきだったのに、僕は甘かった……。苦い経験でした。
本番だろうが何だろうが、結局人は、自分ができる範囲のことしかできません。本番で「実力以上」の力を発揮することを考えるより、毎日の取り組みこそが大事だと僕は思っています。