オーストラリア準備銀行(中央銀行)は昨年、複数回の利下げによって同国の減速する経済が好転すると期待していた。それは同国史上最悪の森林火災が、観光業や消費者信頼感、今年の経済成長見通しに打撃を与える前のことだった。今や中銀はすぐにも追加利下げに動く可能性が高い。気候変動の経済的影響がもはや非現実的でも微小でもなくなった世界にようこそ。プエルトリコは2017年のハリケーン「マリア」の被害から完全に立ち直っていない。米カリフォルニア州では極度の干ばつと送電線の管理不備が2018年に大規模な山火事を引き起こし、昨年は電力会社が経営破綻。計画停電も実施された。ハリケーンやカリフォルニアの山火事、豪森林火災をはじめ、異常気象のどれ1つをとっても気候変動が直接の原因とは言えない。だがこうした事象の確率を高めている。「テールイベント(まれにしか起きないが、発生すると影響が極めて大きい事象)ではなくなりつつある。経済的結果に影響が出始めている」。米ダラス連銀のロバート・カプラン総裁は今月の経済会議でこう語った。
経済に影響する気候変動、もはや絵空事ではない
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