米国は韓国の動きに困惑

 一方で米国は、米韓外相会談における南北協力事業の推進について、韓国側は米国が康長官の発言に理解を示したと説明していることについて、全く異なる見解を示している。

 米国務省のオルタガス報道官は、外相会談後に配布した報道資料の中で、「両外相は北朝鮮に対し、米韓間で緊密に調整することを改めて確認した」「日米韓3カ国による協力の重要性についても話し合われ、地域的、国際的な多くの事案で緊密に協力を続けることも約束した」と伝えている。

 外交の現場では、これは「韓国の勝手な行動は許さない」との意味であると捉えるのが普通だ。米韓の重要な会談後、双方の説明が食い違うのは今に始まったことではないが、米韓関係の根本にかかわる重要な部分で事実を歪曲する文在寅政権に、改めて懸念を覚えざるを得ない。

 米国の外交筋も「米政府はこれに頭を痛めている」と述べている。さらにポンぺオ国務長官は笑顔で対応したが、その裏では「韓国は何故あんなことを言うのか」と当惑していると説明している。

 米国務省が婉曲な懸念を表明する一方で、ハリス駐韓米大使は率直に懸念を表明している。文在寅大統領の年頭会見での北朝鮮個別観光の推進をめぐる発言に対し、「制裁賦課を触発しうる誤解を避けるためにはワーキンググループを通じて扱った方がよい」と述べた。ハリス大使は、韓国政府が進めようとしている個別観光について、米国政府の公式の立場ではないとしつつも、「米韓が互いに緊密に話し合うことが大事だ」と念押ししている。

 ハリス大使は「制裁賦課の対象は明らかにしなかったが、流れから見ると韓国政府となる可能性がある」「ワーキンググループは主に制裁履行と南北協力事業の速度調整を議論するために18年に発足した実務協議体」(中央日報記事から)という。

 同大使は「文大統領の楽観主義は鼓舞的であり、希望を作り出している」(同)としているが、「その楽観主義に基づいて行動することについて、私は米国との協議が行われるべきだと話してきた」と述べた。これは、仮に韓国の説明の通りだとしても、米抜きでの対応はすべきでないと戒めているのであり、韓国政府が米国との協力をやめて北朝鮮におもねる政策方針に転換することになれば、米国は韓国政府制裁に動くかもしれない。

 これに対して韓国統一部の報道官は、「対北朝鮮政策は韓国の主権行為」だとハリス大使の発言を非難している。

 そもそも北朝鮮への個別観光が北朝鮮への制裁対象ではないという文在寅政権の立場に対し、米国は別の考えである。米国は、個別観光問題が登場してから、「北朝鮮に対する制裁維持」という一貫した立場を貫いている。ホワイトハウスの高官も、「ボイス・オブ・アメリカ」の放送で、「米国は全ての国連加盟国が安保理関連決議を順守することを期待している」と異なる立場を表明している。