韓国の米国離れは
既に始まっている

 文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は19年12月4日、国立外院の外交安保研究所が開催した国際会議で、「もし北朝鮮の非核化が行われていない状態で在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮と交渉する案はどうだろうか」と語った。その真意がどこにあるかは明らかではない。米国へのブラフなのか、米国を牽制することか。いずれにせよ文正仁氏は、大統領の意思を代弁しているといわれる人物だけに、物議をかもした。

 それ以外にも、韓国の米国離れの兆候が見える。

「文在寅という災厄」
「文在寅という災厄」 武藤正敏著、悟空出版刊

 文大統領は、19年12月23日に行われた中国の習近平主席との会談で、中ロが国連安保理に提出した「北朝鮮制裁一部解除決議案」について、「韓国政府も注目している」「現在、朝鮮半島の安保が非常に厳しい時点にある中で、さまざまな国際的努力が必要だという立場だ」応答している。

 文大統領の年頭記者会見や康外交部長官の発言、その他の政府高官の動きは、この中韓首脳会談の内容に沿った動きだともとれる。既に韓国が米国との連携から離れ始めたと見るべきではないだろうか。

 もともと文大統領は、心情的に日米よりも中朝に近い。加えて日本とのGSOMIAを巡る問題では、米国の圧力で破棄撤回に追い込まれた。日米を離れ、中朝に接近したいとの文大統領の心情からすると、今回の南北協力事業を勝手に推進したいとの意思がますます強まってきているのは否定できないだろう。

 韓国のレッドチーム入りは既定路線ではないだろうか。もはやレッドチームに入るかどうかではなく、いつ入るかを注視する段階になった。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)