新型コロナウイルス危機からの脱却の道筋を探る上で、政治家や政府関係者は疫学者の中でも「モデラー」と呼ばれる予測モデルを手掛ける専門家集団の意見に大きく頼っている。何億人もの市民の健康や生活に直結する意思決定を行う世界の指導者は、モデラーたちが示す感染者や死者数の予測を注視しているが、彼ら自身が多数の不確定要素を基に予測を引き出していると認めているのだ。有力なモデラーの一部は、特に新型コロナについてほぼ全く解明されていない現状を踏まえると、現実的ではない水準の確実性を求められていると話す。そして、政治的に不人気な政策のスケープゴートにされるのではないかとの不安を抱えているという。「いかなる予測モデルであっても、50%の確率で当たれば上出来だ」。ノッティンガム大学のキース・ニール教授(感染症疫学)はこう指摘する。「それは精密科学ではない」
コロナ予測専門家の不安、政策批判の的にも
不確定要素に基づく予測でも確実性を求められる
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