直近の米雇用統計で失業率が記録的な水準となり、投資家は矛盾する2つの現象にますます頭を悩ませている。それは、株価上昇と景気低迷だ。労働省が8日に発表した4月の雇用統計によると、失業率は1948年の統計開始以降で最悪の14.7%に達したが、発表後も米株は続伸した。非常に悪い経済指標が発表される傍らで米株が回復を続けるという現象に市場観測筋が首をかしげるのはこれが初めてではない。10年分の雇用増加はほんの数週間で消えた。全米で経済活動が停止するなか、個人消費は急減し、製造活動は前回リセッション(景気後退)以来のペースで縮小している。景気と株価の乖離(かいり)は先週一段と鮮明になった。ハイテク株中心のナスダック総合指数は新型コロナウイルスの感染拡大による下落幅の多くを打ち消し、年初来上昇に転じた。先週は、S&P500種株価指数が3.5%高、ダウ工業株30種平均は2.6%高、ナスダックが6%高だった。