4カ月足らず前、習近平国家主席は指導者として最大の危機に直面した。中国は初期の新型コロナウイルス対応に失敗し、同氏の指導力は傷ついた。その後、米国など多くの民主主義国家が新型ウイルスに苦しむ中、中国は感染の抑え込みに成功したとされたことで習氏は意外なまでに勢いを取り戻した。米国を追い抜かないまでも、米国と肩を並べる強力な統一国家を実現するという「中国の夢」の核となる地域に進出するチャンスをつかんだ。一方で、政府の欠点は無視した。米国と同盟国が新型ウイルスとその経済的影響に気を取られる中、習氏は香港、台湾、南シナ海、インドとの境界争いなど、これまでしばしば国際社会からの抵抗に遭ってきた問題に大胆な手を打ちつつある。