警察の拘束下で死亡した黒人男性の死を発端とする抗議活動が全米に広がっていた5月29日夜、スポーツ用品大手ナイキは1分間の動画をソーシャルメディアに投稿した。流れたメッセージは「人種差別に背中を向けるな」や「黙って傍観するな」というものだった。競合の独アディダスは即座にナイキの動画(視聴回数は2000万回超)をリツイートし、「われわれは共に前に進む。共に変化をもたらす」との独自メッセージを添えた。通常ならあり得ない業界ライバル同士の団結をきっかけに、他のアパレル企業なども「関心を持っている」姿勢をインスタグラムなどで相次ぎ打ち出した。その翌日の5月30日、イタリア高級ブランドのグッチは、著者で活動家のクレオ・ウェイド氏による人種差別反対の声明を投稿。独アディダス傘下のリーボックも、「あなたに当社の靴を買ってほしいと頼んでいるのではない。他の人の気持ちになって考えてほしいと頼んでいるのだ」などとするメッセージをインスタグラムで公表した。5月31日には、米高級皮革製品・アクセサリーのマイケル・コースが「今すぐ結束を、人種差別はなくすべき」とのメッセージの入った写真を投稿。これに続き、ベルギーのデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン氏と伊ブランドのヴァレンティノは週明け6月1日朝、ともに「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切)」のメッセージを投稿した。その後も、多数のブランドが後に続いている。
人種差別反対を唱えるブランド、それで十分か?
言葉だけでは足りない、行動が必要との声も
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