今週の音盤は、フランツ・シューベルトの交響曲第9番ハ長調ザ・グレイトです。

アンソロジー(1)

 シューベルト、と言えば、一般的なイメージは、「歌曲の王」でしょう。

 学校の音楽の時間に“野ばら”や“菩提樹”や“ます”を歌った記憶があるはずです。その美しい旋律には現代に通じるポップな感覚と同時に、ちょっと悪魔的な毒も含んでいます。とても200年も前の音楽とは思えません。しかもシューベルトは、31歳と10ヵ月という非常に短い生涯で600曲以上の歌曲を作曲しました。天才以外の何者でもありません。

 あのベートーヴェンも「本当にシューベルトには神の火花が宿っている!」と述べています。

 ですが、シューベルトの最高傑作は、交響曲第9番ハ長調ザ・グレイトだと断言します。

 しかも、歴史上の全ての交響曲の中でもハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスらの傑作に勝るとも劣らない屈指の名曲です。