中国が次世代技術に巨額投資、米との覇権争い激化Photo:Bloomberg/gettyimages

 中国が次世代技術の開発に向けて、巨額投資に本腰を入れ始めた。米国に先駆けて中核分野で覇権を握る狙いがある。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、北京市や上海市の地方政府のほか、十数の地方自治体が今年に入り6兆6100億元(約99兆9700億円)規模の投資を表明した。当局の要請を受けて、中国企業も資金を投じる方針を発表している。

 中国工業情報省(MIIT)が今年明らかにした計画では、人工知能(AI)やデータセンター、モバイル通信などの分野に、向こう5年で少なくとも1兆4000億ドル(約150兆円)を投じる方針が示されている。

 李克強首相は、先月開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、次世代技術向けの投資は、共産党の最優先課題だとし、国家に「新型インフラ」を提供すると述べている。

 中国指導部は先頃まで、従来のハイテク産業育成策「中国製造2025」を表だって強調することを控えてきた経緯がある。李首相の発言は当局の姿勢に微妙な変化が生じていることを示している。トランプ米政権は中国製造2025について、中国を代表する国産企業への補助金を提供するとともに、競争環境が外国企業に不利になるとして問題視している。