エグゼクティブが転職で
年収や業界の将来性より重視すること
「3年後、5年後にどの業界、企業が伸びているか」――。
転職を考えるとき、このような視点を持つことは当たり前のこととして考えられています。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした経済環境の激変は、ますますこの傾向を強めるかもしれません。
ただ、エグゼクティブといわれる中間管理職以上の転職のお手伝いをしていると、「3年後、5年後、この業界や企業は伸びている可能性が高いから転職したい」という話は、実はあまり聞いたことがありません。
では転職の際にエグゼクティブは何に着目しているのでしょうか。それは、「経営者」と「会社のビジョン」です。
ある大手企業の役員を退任される予定のエグゼクティブと面談を行ったときのことです。この方の年収は2500万円に業績給が上乗せされ、計4500万円でした。非常に高給です。では次の職場はどのくらいの給与を希望しますか、とおうかがいすると、「1000万円くらいは欲しいが、そういう問題でもありません」と話し始めました。
「大事なことは経営者がどう時代を認識し、ビジョンを描いているか。そして私がそこに共感できるかどうかです」
平たく言えば、魂を込めて仕事ができる経営者とビジョンのもとで世の中のお役に立ちたいということでした。