米国株式市場では、わずか7日間で大型グロース株7銘柄の時価総額が計1兆ドル(約106兆円)吹き飛んだ。1兆ドルだ。予想外に大損している投資家には過去の苦い記憶がある。波乱のハイテク株を中心にひどく過熱した相場が下がり続けるなら、何が起きるだろうか。極端な場合、バブルがはじけることで経済全体が混乱に陥ることがある。英国の鉄道狂時代(1846年)や日本の不動産・株バブル(1989年)、米国の住宅バブル(2007年以前)などがそうだ。良い知らせは、今回のハイテク株の過熱――私はバブルと呼ぶのをためらっている――が、新株あるいは債券発行による投資ブームを伴っていないことだ。例外もある。テスラなどは新たな現金の定期的な注入を必要としており、市場に背を向けられれば事業拡大ペースの鈍化を余儀なくされる。だがアップルやアマゾン・ドット・コムなどのハイテク大手は、自社の株価が半分に下落しても計画を中止しなくてはならない理由などない。