「見捨てられ」が怖い日本と「巻き込まれ」を恐れるアメリカ…同盟のジレンマの陰で高まる「第三次世界大戦」のリスク写真はイメージです Photo:PIXTA

日々、メディアでは世界各地での紛争に関するニュースが流れている。そうした出来事が火種となり、大規模な戦争へと発展すれば、私たち自身の安全も脅かされかねない。世界には数多くの火種が存在し、それぞれの情勢を理解することは、平和への小さな一歩につながるはずだ。今、世界で何が起きているのか、国際政治学者が語る。※本稿は、千々和泰明『世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

「世界の警察はもうやめる」
オバマが代弁したアメリカの本音

 1989年に冷戦の終結が宣言され、1991年にはソ連がなくなると、アメリカだけが飛び抜けて強い、アメリカ一強あるいは「アメリカ一極」の世界が訪れました。

 ところが2001年に9・11同時多発テロ事件が起こり、アメリカが「テロとの戦い」に踏み出すなど、世界は再び緊張に包まれます。同年、アメリカなどの有志連合は、アフガニスタンのタリバン政権がテロリストをかくまっているとしてアフガニスタンを攻撃し、タリバン政権を倒しました。

 また、イラクのフセイン体制が大量破壊兵器を隠し持っており、テロリストの手にわたる危険があるとして、2003年にイラクを攻撃して、フセイン体制を打倒しました。

 アメリカはアフガニスタンやイラクがテロの巣となることがないように、軍を駐留させたうえで、新しい国づくりに手を貸そうとします。