
ファミレスの味は無難だ。誰にも好かれ、誰にも嫌われない味を目指すためだ。だがその一線を越えようとする人間もいる。SNSをのぞくと、ファミレスのメニューを独自に組み合わせ、独創的な一品を創り出す食の探求者たちがいる。サイゼリヤであれば、エスカルゴにモッツァレラをのせてオーブン焼き風にしたり、パスタにミニトマトとチーズを加えて混ぜたりするのだ。実際、公式は「カスタマイズ朝食」を推奨しているのだが、やってみると、格安だけではないメリットがあった。(イトモス研究所所長 小倉健一)
ファミレスで「自分流」のメニューが作れる革命
ファミレスの朝食で「カスタマイズが楽しくなる」とは誰が想像しただろう。本来、ファミレスは均質を提供するものだが、カスタマイズは、その均質を「自分の料理」に変える手段だ。
フォカッチャにミルクジェラートをはさんで朝からスイーツパンにする。小エビのサラダを詰めてホットソースで辛口サンドに化けさせることもできるーー。そんな食べ方が許されるのは、サイゼリヤだけだ。
しかも、(サイゼリヤで推奨されているわけではないが)シチリア産海塩、ホットソース、オリーブオイルは、いくら使っても無料だ。コンビニの冷えたパンと缶コーヒーより豊かな朝食を体感できる。
これは客の勝手な行為と言うわけではなく、実際メニューを見ると、、フォカッチャのところに「その日の気分で自由に組み合わせてお楽しみください」と記載がある。フォカッチャ(フォカッチオ)単品で税込150円をベースに、何をはさむかで全く違う朝食に生まれ変わるのだ。
サイドメニューは小エビのサラダ(350円、税込価格・以下同)、ミルクジェラート(250円)、ほうれん草ソテー(200円)、トッピング半熟卵(50円)と豊富。コンビネーションに制限なし。組み合わせは無限…というのは言い過ぎだが、バラエティに富んでいる。
飲食店が「組み合わせてください」と誘導するケースは、チェーン業態では極めて珍しい。しかし、飲食店からすれば、提供する材料が少なくて済むわけで、ありそうでなかったアイデアだ。