
子どもに「勉強しなさい」と言っても逆効果だ。渋谷教育学園幕張中学・高等学校は、あえて手も口も出さず、失敗させることで、子どもたちの学力を驚くほど伸ばしている。新興校ながら、東大生を多数輩出する同校の秘密に迫る。※本稿は、佐藤 智『渋幕だけが知っている「勉強しなさい!」と言わなくても自分から学ぶ子どもになる3つの秘密』(飛鳥新社)の一部を抜粋・編集したものです。
渋幕が実践していたのは
「積極的に失敗させる」こと
積極的に失敗をさせる学校がある、といったらお父さんお母さんはどう感じるでしょうか?
最近では「失敗の大切さ」を伝える方も増えてきたので、なんとなくその価値を理解していただける方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、「なるべく失敗させたくない」「失敗するくらいならば先回りしてフォローしたい」と思う親心もあるでしょう。渋幕でも中学1年生の入学時点では、「もっと手厚く」「細かく指示して効率的に学ばせてください」という保護者の方がいらっしゃるといいます。
しかし、そうした保護者に先生はじっくりと向き合って、渋幕の目指す教育を伝え続けます。
渋幕では「積極的に失敗させる」ことを大事にしています。自己決定には失敗がつきものだからです。
例えば、多くの卒業生が忘れられない思い出として挙げるのが、「現地集合・現地解散」の研修旅行です。
渋幕では、年度によって多少行き先は異なるものの、主に下記のような校外研修(遠足や修学旅行にあたる活動)を設定しています。中1:野田・南房総、中2:鎌倉・北陸、中3:奈良、高1:広島、高2:九州か中国の選択制。
多くの学校では、校庭や最寄りの駅に集合して、全員で現地に向かうでしょう。