ファミリーカー,フランス車

開放感と使い勝手、長距離移動にこだわった5モデル

 いわゆるファミリーカーを検討する時、フランス車は候補に挙がりづらいかもしれない。だが考えてもみよう。フランスのファミリーカー最大の使命といえば、昔も今もバカンス・エクスプレス。

 夏の終わりの今頃はちょうど、リゾートかキャンプか別荘を出発して、パパもママンも子供も、もしかして叔父叔母・従兄妹といったもう一世帯までフル乗員で、荷室も満載で、数百kmをはるばる帰っていく。そんな目いっぱいの運用が展開される。こうした日常的とはいえエクストリームな条件で、寛げる乗り心地や長距離燃費を鍛えているのが、フランス的ファミリーカーの強味であり凄みだ。

 確かにフランスでも、2~3週間という超長期バカンスを夏にまとめて取ることは、古典だが減っている。むしろ飛び石連休の間を埋めては、年間スケジュールの中で2~4泊の短・中期バカンスをこまめに増やす傾向にある。逆にいえば、祝日の多い日本のようなカレンダーと状況は似てきており、それにともなってファミリーカーのフル乗車・フル積載での出番も、さらに増えつつある。

 フランス的ファミリーカーの特長として最初に挙げられるのは、キャンピングカーでこそないが、移動リビングを目指したかのような、落ち着いたインテリアだ。居室的な心地よさを目指すのは国産ミニバンにも共通だが、カラオケボックス的な煌びやかさとか、台形の左右両端を上に持ち上げた瓦屋根風プロポーションとか、歌舞伎の隈取りのようないかついフロントマスクに、ソリューションは求められない。

 ただし、抜けがよくて開放的に感じられる空間であること、収納やシートの使い勝手よさには異様にこだわる。その例として挙げられるのが、「シトロエン グランドC4スペースツアラー」だ。