成長するならまず「場」に入る努力が9割

──とはいえ、レベルの高い「場」に入っていくのは大変だと思います。どうしたらいいのでしょうか?

けんすう 掛けるべき工数の9割くらいはそのコミュニティに入るために費やすべきだと思います。レベルの高いところに入らないと自分のレベルも上がりません。でも、いったん入ってしまえばわりと誰でも上がれるところがありますから。

努力の9割を使ってでも<br />「レベルの高い場所」に入るべき理由

佐俣 その意味ではアルバイトとかインターンでもいいんですよ。要するに、なんとかして紛れ込むのが重要なんです。

 昔は僕も、いろいろな経営者やビジネスパーソンに顔を覚えてもらうために、IT系のカンファレンスに参加していた時期があります。でも当時はそうしたイベントってある程度成功した経営者しか呼ばれなかったんです。

 そこで僕はイベントのスタッフとして参加しまくったんです。受付とかマイクを渡す係とか、あらゆるイベントのスタッフを一通り全部やりました。どんな形であれ、そうやって入っていけば徐々に顔を覚えてもらえたりするんです。

けんすう いいですね。アルバイトでも入ってしまえばそこの人間になれるわけですからね。そういう入り口を見つけて実際に動ける人は筋がいいなって思います。

佐俣 BASEを創業した鶴岡裕太さんも、もとは家入一真さんのCAMPFIREのインターンでした。当時は家入さんの誕生日会でタンバリンをたたく役なんかもやってましたが、いまや上場企業のトップですから。

けんすう タンバリンを叩いてたところから、東証の鐘を叩くまでになるとは……。

佐俣 そうした工夫をせず、誰もが知っている正攻法でしか扉を叩けない人は、望む「場」になかなかたどり着けないかもしれません。真正面から行かなくても、コミュニティに入るための別の入り口って探せばあるはずです。

けんすう サービスをはじめると、初期からすごく協力してくれるユーザーさんがいたりします。アルでも無料マンガなどをひたすら教えてくれる人がいます。そういう人をサービス運営者は認知するので、その人が応募してきたら採ってしまう可能性が高い。応募時に「やる気はあります!」といって何もしていない人よりもよほど信頼があるので。

 なので、入りたいベンチャーのサービスとかを使い、サービスがユーザーにやってもらいたいことを徹底してやったりしてから「インターンやりたいんです!」と連絡したりしたら、割と採用確率は上がるのではないかなと。

佐俣 たしかに。もし、そうやってアプローチしてくる人がいたらセンスいいと思いますよね(笑)。

けんすう ただ、こういうのって先行者優位性の高いことなんで、「最初に」やるのがいいんです。あとから真似をしている人は価値を生みづらいですよね。

佐俣 この前『僕は君の「熱」に投資しよう』を読んだ人が、手書きの手紙を送ってくれたんです。手書きで送ってきた人はそれまでいなかったので、面白いなと思って1時間くらい会って話をしました。本人は「スピードが大事だと思ったので」と言ってましたが、そこはセンスがいいなと思いましたね。

けんすう そういうことですよね。2通目の人は価値が一気に下がります。

佐俣 成長できる「場」に入っていく手段はいくらでもあるはずです。それを自分の頭で考えてどう実行するか。若い人には、まずはそこに挑戦してほしいですね。

努力の9割を使ってでも<br />「レベルの高い場所」に入るべき理由

(終わり)