旧ソ連諸国が相次ぎ危機に見舞われていることで、経済・軍事関係の強化を狙うロシアの目算が狂い始めた。ロシアの「裏庭」における影響力低下は、中国やトルコなど近隣の競合国に付け入る隙(すき)を与えている。ウラジーミル・プーチン大統領はかねて、西はベラルーシ、東はキルギスまで、東欧や中央アジア全体で各国との関係強化を目指してきた。ロシアは中央アジアや南コーカサスに依然として軍事基地を置くほか、商業および文化的なつながりも強い。だが、ロシアを取り巻く混迷――アルメニアとアゼルバイジャンの紛争を含む――に加え、外交および経済上の微妙な変化が地域におけるロシアの支配力を弱めている。中国が経済力に物を言わせて影響力を強め、欧州が民主主義の理想を浸透させる一方で、ロシアは強権政治にしがみついたままだ。