スタートアップ企業の最高財務責任者(CFO)の中には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でCFOとして初の財務危機を経験し、出資を受けるベンチャーファンドのCFOに指導を仰いでいる人たちもいる。ファンドのCFOや財務担当幹部は自社のバランスシートを管理するだけではない。投資先企業のCFOにも助言をし、財務プランの作成支援や銀行の紹介のほか、企業の財務責任者同士が知識や最良の事例を共有できるネットワーク作りをしている。ソフトバンクグループ(SBG)が運営するビジョン・ファンドのナブニート・ゴビルCFOはコロナ禍以降、投資先企業のCFOと以前よりも頻繁に会議をしている。ビジョン・ファンドは投資額が900億ドル(約9兆5300億円)を超える世界最大のハイテク投資ファンドだ。かつては年に1度、時には4半期ごとに対面で会議を開いていたが、今はバーチャルでの協議になり、回数が増えた。「パンデミックで形態が変わった」とゴビル氏は話し、コロナ禍前は投資先企業のCFOの支援に10~20%の時間を費やしていたが、今は約30~40%に増えたと述べた。