多国籍企業への課税に関する新ルールを巡り、各国が合意できずにいる。米アップルやグーグルなどへの課税は長らく米国と欧州の争点となっており、欧米による関税合戦に発展する恐れが高まっている。130カ国余りの政府がここ何年も、多国籍企業の利益に課税する方法について新ルールを模索し、年内の策定を目指してきた。だが欧米の溝はかなり深い。欧州諸国が国際的合意なしに米ハイテク大手に対する新たな課税を打ち出せば、米国は関税を発動するとけん制している。協議の舞台となっている経済協力開発機構(OECD)は12日、これまでのところ各国政府が新ルールで合意できていないと明かした。協議が暗礁に乗り上げたのは昨年終盤のことだ。米政府は自国企業が既存規制に従い続ける選択肢を与えられるべきだと主張。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は妥協点を探る取り組みを一段と困難にした。