新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大きく減速した今年もあとわずかとなってきた。金融市場を振り返ると、各国が金融緩和政策を講じる中、実質金利への関心が高まったといえる。

 3月にFRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を実質ゼロまで一気に引き下げた。当初は為替市場でドル高が起きたが、米国の期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)が原油価格の回復に伴い上昇し始めると、ドルの実質金利低下を材料にドル安が進行している。

 FRBがインフレ率の上振れを容認する姿勢を示すと、ドルの実質金利は大幅にマイナスになり、為替市場におけるドル安圧力をより強めた。割を食ったのはユーロ圏と日本である。