バイデン氏の政策の優先順位は
トランプ大統領の「負の遺産」の清算
11月3日に行われた米大統領選挙は、バイデン氏が当選に必要な270人を超える選挙人を獲得し、勝利宣言を行った。トランプ大統領はいまだ敗北宣言を行わず、法廷闘争で抵抗しているが、米国の世論調査では、国民の8割はバイデン氏が当選したとの認識であり、米国では日ごとにトランプ大統領の形勢が悪くなっているといわれている。
こうした中、バイデン氏はすでに政権移行に向けた準備に入っている。バイデン氏にとって当面の重要課題は、トランプ政権によって深まった国内の分断の修復と、米国第一主義によって生じた国際協調体制の崩壊をもとに戻すこと、そして国際政治的には、協調の乱れで生じた「力の空白」によって、中国の覇権主義が国際秩序の脅威となっている現状の打開である。
バイデン氏の業務引き継ぎ委員会は、最初に取り組む優先業務として、新型コロナ対応、経済再建、人種差別への対応に決めた。新型コロナ対策としては、既にオバマ前大統領が国民皆保険を目指して導入した医療保険制度改革法「オバマケア」の拡充に取り組む方針を表明した。