バイデン政権が発足すれば、米国と欧州の対話はこれまでよりなごやかになると投資家は期待できる。だが、貿易を巡る緊張は和らぐ可能性が高いとはいえ、トランプ時代の象徴となったハイテク企業の課税を巡る係争に終止符が打たれると期待するのは行き過ぎだろう。欧州連合(EU)は先週、39億9000万ドル相当の米国製品に対する制裁関税を発動した。トランプ大統領が2019年10月に欧州製品に対して発動した75億ドルの関税を受けた措置だ。いずれも、欧州航空大手エアバス・グループと米同業ボーイングへの補助金を巡って世界貿易機関(WTO)に提訴された長年の貿易紛争に関連している。航空機大手を巡る対立はおそらく、新たな規範の例外だろう。EUは制裁関税によって、問題がエスカレートするのではなく、双方の関税が撤廃される道が開けると期待している。これに加え、バイデン政権は前政権ほど関税に頼らず、意見の相違を解決する上で冷静な外交を重視する可能性が高そうだ。