米国のバイデン次期政権に対する批判勢力は、同政権が中国に硬軟両面のシグナルを送っていることをやり玉に挙げて、すでに攻撃を開始した。バイデン氏のチームは中国への対応で「良い警官と悪い警官(同情と脅迫)」の役割を演じている。国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名される予定のジェイク・サリバン氏が、中国からの圧力を受けているオーストラリアへの米国の支援を呼び掛ける一方で、気候変動対策担当の大統領特使になる予定のジョン・ケリー氏は、気候変動問題で中国と包括的合意を結ぶことに期待を寄せている。しかし、こうした硬軟織り交ぜた戦略は、現段階ではどちらかと言えばバイデン・チームにとって都合がよい。周囲にとって懸念材料になるのは、これから先、中国のような強大なライバルと対峙(たいじ)する際に新政権が取る可能性のある、あいまいな姿勢だ。