ジャーナリスト 池上 彰氏池上 彰氏 Photo:JIJI

芸能人の不倫報道が出るたび、ネットは激しいバッシングに包まれる。「許されない行為だ」という声は一見もっともに見えるが、その言葉はどこまで正当な批判なのか。池上彰は、自身に向けられた殺人予告の経験を通じて、そこにある共通の構造に気づいたという。※本稿は、ジャーナリストの池上 彰『法で裁けない正義の行方』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

ネット上の誹謗中傷が
ここ十数年で急増中

 インターネット上やSNS上での誹謗中傷が後を絶ちません。インターネットでは匿名で自由に発信できるため、気が大きくなって、面と向かっては言えないような酷い言葉も平気で書き込んでしまう人が多いのです。違法・有害情報相談センターへ寄せられた相談件数は、2010年度の1337件から、24年度は6403件と、十数年の間に急増しています。

 恋愛リアリティショーに出演していた女性が誹謗中傷によって自死する事件(2020年)なども起き、誹謗中傷に対する法の整備が進みました。インターネット上で誹謗中傷をするなど他人を攻撃することは、法律違反なのだということを、発信者は肝に銘じなければいけません。

 SNS上で根拠のない誹謗中傷を投稿すると、名誉毀損罪や侮辱罪などに問われたり、高額な慰謝料を請求されたりします。侮辱罪については、インターネット上の誹謗中傷など悪質な侮辱に厳正に対処するため、22年に刑法が改正され、法定刑が「拘留または科料」から「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」へと引き上げられました。

 また25年4月、通称「情報流通プラットフォーム対処法」(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)も施行されました。