米国にとって近年最悪の人道的・経済的惨事を目の当たりにすると、行き過ぎた財政刺激などないと思い込みがちだ。だが行き過ぎはあり得る。われわれはまさにその例を目撃しようとしているのかもしれない。連邦債務を正当化する理由は大抵、失業率を押し上げている需要崩壊への対応か、戦争の遂行や貧困の緩和といった社会的に差し迫った必要性を満たすことである。いずれの理由も、先週に合意された刺激策による現金給付600ドルに加えて1400ドルを米国の成人ほぼ全員に配るという、ドナルド・トランプ大統領と民主党の計画には当てはまらない。その費用は4630億ドル(約47兆円)に上る。確かに、金利がゼロ近辺にある中、マネーは安いが、タダではない。有効性が疑問視される刺激策のためにそれほど債務を増やせば、今後のために取っておいた方がいいかもしれない政治・財政面の余地を消耗することになる。
米財政刺激策、やり過ぎもあり得る
現金給付を2000ドルに増額すれば政治・財政面の余地がなくなる
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