最近のIT(情報技術)株の熱狂は1990年代をほうふつとさせる。そして今、石油投資家もデジャビュ(既視感)を体験している。米石油大手エクソンモービルとシェブロンは昨年、合併の可能性について協議していたと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1月31日伝えた。両社は市場を独占していたジョン・D・ロックフェラー氏のスタンダード・オイル社が分割されて誕生した企業の中で最大規模だ。2月1日午前の取引で両社の株はほとんど動かなかった。そのような合併が実際に起きることに懐疑的な見方があったとみられる。史上最大の企業合併になるかもしれないというこのアイデアは並外れているように聞こえるが、あり得ない話ではない。足元の石油市場の状況は、石油メジャー同士の大型合併を可能とした1990年代終盤に始まった状況と似ている。当事はアジア通貨危機により、世界の経済成長と石油需要が急激に崩壊していった。その結果、供給過剰となり、エネルギー大手企業をかなり弱体化させた。コスト削減を余儀なくさせ、大型合併に道を開くこととなった。新型コロナウイルスとアジア通貨危機はそれぞれ2020年と1998年のブレント原油先物価格を約3分の1吹き飛ばした。
エクソンとシェブロン合併、クレイジーにあらず
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