どんな米新政権も遅かれ早かれ、主要な構想の一つが思い通りに進んでいないかもしれないという失望感を経験する。バイデン政権には、先週その時が訪れた。欧州連合(EU)の広範な支持を背景にドイツが明確に表明したのは、欧州はロシアや中国に対抗する措置にほとんど関心がないということだった。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会合で、欧州は米中対立の構図の中でどちらの陣営にも加わるべきではないとの考えを示し、「ブロックの形成」の動きに警鐘を鳴らした。欧州は先に、EUと中国の投資協定について、バイデン新政権が議論に加わるまで合意を先送りすべきだとの米国の呼び掛けを拒否しており、今回の発言は、欧州の考え方を極めて明確に示すものとなった。欧州の政策担当者にとって、新疆ウイグル自治区のウイグル人の問題、香港の問題、南シナ海とその周辺で拡大する軍事的脅威などの重要度は、自分たちの経済的利益の重要度よりもずっと低いということだ。
【オピニオン】欧州人は理想主義者ではない
バイデン政権は欧州の経済現実主義を見間違うな
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