ジェフ・ベゾス氏にとって、出て行く理想的なタイミングがこれまでなかった。だが今は退任してもいい時だろう。「出て行く」とは相対的な言葉だ。米アマゾン・ドット・コムは2日、有名な創業者が完全に去るわけではないとあえて指摘した。同社は10-12月期(第4四半期)決算発表に合わせて、ベゾス氏が最高経営責任者(CEO)の職をアンディ・ジャシー氏に譲ると発表した。ジャシー氏は立ち上げ以来、クラウドコンピューティング事業アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を率いてきた長年の部下だ。ベゾス氏はCEOを2021年7-9月期(第3四半期)に退任し、執行会長となる。とはいえ、これは大きな変化だ。創業者がほぼ伝説的な地位を占めるIT(情報技術)業界においてさえ、ベゾス氏は独自の世界にいた。他の巨大IT企業で創業者が積極的に指揮を執っているのはフェイスブックだけだ。だが、同社のマーク・ザッカーバーグ氏がハーバード大学の寮でソーシャルネットワークのアイデアを思いついた時、ベゾス氏はすでに10年間、自身の職務を務めていた。アマゾンの2020年通期売上高は約3860億ドルと、フェイスブックの規模の4倍を超える。また、アップル、マイクロソフト、グーグルがそれぞれの創業者の下で達成した額をはるかに上回っている。
アマゾンのベゾスCEO、今が退任の潮時か
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