労働市場の足取りはまだおぼつかないようだ。米労働省が5日発表した1月の雇用統計では、非農業部門就業者数(季節調整済み)が前月比4万9000人増加し、エコノミスト予想と一致した。ただ、2020年12月と11月分は合わせて15万9000人下方修正された。失業率は12月の6.7%から6.3%に低下したものの、職探ししている人が減り、労働力にカウントされなくなったことが一因だ。1月の雇用統計で気がかりな点は、小売業の就業者数が3万7800人(季節調整済み)減り、レストランやバーも1万9400人減少したことだ。小売業者は年末商戦期に臨時雇用を増やすため、1月の雇用が12月より減るのは自然なことだ。だが、労働省による季節調整はこれを加味しているはずだ。さらに、20年の年末商戦期には新型コロナウイルス禍の影響で小売店が雇用を控えていたため、多くのエコノミストは小売業の雇用に関する季節的要因は想定ほど大きくなく、実際には季節調整済みの数字が増加すると考えていた。